電車男といったドラマなどにもしばしばロケ地として登場し、超高層ビル群の一角を形成している新宿モノリスビルですが、この建物を管理する新宿モノリス株式会社の社長の椅子などが、東京都職員のOBなどを含む関係者ばかりだったことが判明しました。
元々新宿モノリスビルの土地自体は都が所有しているもので、これを当時の住友信託銀行と安田信託銀行、三菱信託銀行がタッグを組んで管理しはじめました。ただ、三行との契約が切れる2010年に東京都が残していた議事録によると、既にこの時点で天下りのような状態になっていることが指摘されています。当時は賃料収入が数十億円単位で減少していることが問題だと言われていましたが、その中で20年間に就任した6人の社長全員が都のOBだったことも明かされ、このことを問いただされた際には「必要な人材が確保されていると認識している」と新宿モノリス株式会社の方が答弁しています。
なお、都が管理するビルは他にも4カ所あるのですが、現在社長を務めている方々は「東京都側から提案されてこのポストを受け入れた」と話しています。また、財務局は朝日新聞の取材に対して「今後配当が増えるかわからない」とも答えており、元々の配当すら下回っている状況が改善されるかについては、やや厳しい見通しとなっているようです。
新宿住友ビルでは改修工事が行われ、新宿野村ビルと新宿三井ビルでは免震工事が行われるなど、エレベーターを入れ替えている東京都庁も含め、近年は各ビルで大規模な改修工事が相次いでいます。新宿モノリスビルも床のタイルにヒビが入っていたり、妙に汚れている壁があったりと、徐々に「年代物の建物」であることを感じさせる外観や内観になっているため、そう遠くない将来に何かしらの工事が行われる可能性がありますが、今後の都の対応次第ではビルの改修や収支改善よりも先に、社長ポストなどの「整理整頓」が行われるかもしれません。
・都幹部、ビル会社社長に天下り30人 都有地に4社設立:朝日新聞デジタル
・平成二十二年 東京都議会東京都議会財政委員会速記録第十一号