西新宿に建設された高層ビルの中でも「古株」の存在であり、日本初の200m超えの超高層ビルでもある新宿住友ビルが来年から約2年間にわたって工事を行うことになり、テナントの入居者や周辺住民を対象にした説明会を開催しました。
工事の目的は周辺のビルでも頻繁に行なわれている耐震目的のものだけでなく、新宿住友ビルの1階部分など、ビル周辺の敷地内の有効活用を目的としているようです。具体的には先日からバリケードが設置されたバスターミナルなどの一帯を全て取り壊し、北側にエスカレーターなどが導入された上で、入口部分を1階の高さに統一する予定になっています。これによってアトリウム広場と名付けられた広い空間が作られることになり、様々なイベントを開催しやすいスペースへと変わることになります。
撤去の対象はDoスポーツプラザが撤退してから廃墟のような状態が続いている地下エリアも指定されていて、旧Doスポーツプラザの隣にある住友ホールなども手を加えられ、新しくイベントホールとして作り変えられるとのことです。これに伴い、事実上2階から発着していた自動車の導線も変更されるようで、今後は駐車場に車寄せが新設され、結果的に駐車可能な台数は減少するとも説明されています。
また、前述の広場は大きなガラスの屋根で囲われる予定にもなっていて、雨が降ってもイベントが開催できる環境づくりが整えられています。資料には東京ドームの外側に取り付けられているような屋根で、ビルの周辺を覆うようなイメージ画像も掲載され、実現すればシンプルなビルが一気に華やかなスペースへと変化することになります。なお、ビル周辺の像や「淀橋浄水場時代の名残り」などのオブジェはイメージ画像に描かれていませんでした。
災害への対応についてはザ・パークハウス新宿タワーを始め、同じ住友不動産系列のビルなどで取り入れられている制度に近いものを採用するようで、停電72時間まで対応できる自家発電の設備や、最大で約2800人の帰宅困難者を受け入れる設備などが設けられるとのことです。推定ではあるものの、ビルのテナント内だけでもこれだけの人数はゆうに超える人が働いていますが、東京都庁や京王プラザホテル、角筈地域センターなどと分担して受け入れ作業を行うことにより、結果的には新宿駅周辺の帰宅困難者を受け入れる人数が増加する事になります。
目の前の道路が国家戦略道路占用事業になったことで商業的な戦略も増えた新宿住友ビルですが、ビルの敷地内も活かすことにより、一帯の活性化にも繋げたいとも資料では説明されています。工事どころか計画自体も確定したものではないため、どこまで実現できるのかはわかりませんが、2019年までにこれらの計画が実現すれば、周辺住民にとっても楽しみの増える商業スポットが増えることになるかもしれません。
・「新宿住友ビル」を改修、住友不動産 100億円超投資 :日本経済新聞 – 2015年の記事