伊勢丹メンズ館を成功させ、異例とも言われる形で伊勢丹の社長に就任した大西洋さんが、三越伊勢丹ホールディングスの社長を退任することになりました。三越伊勢丹の設立とほぼ同時期の2012年から社長を務めてきたものの、業績不振の責任を取るとのことです。
現在、大西社長は日本百貨店協会会長の他に新宿観光振興協会の理事長も務めており、とりわけ新宿に関するイベントなどには頻繁に顔を出されていました。中山区長体制の後半になってから急拡大した新宿芸術天国のみならず、見方を変えればライバル企業にもなるルミネの新規店舗祝いにも駆けつけるなど、地域振興のために尽力した人物でもありました。
しかしながら、本業である三越伊勢丹自体は昨今の百貨店業界、大阪三越を始めとした店舗の不振などから業績が伸びず、今期は純利益が前期比でほぼ半減するなど、厳しい状態が続いています。大西社長が関与したものではないかもしれませんが、ラジオ放送を行ったりサロン・デュ・ショコラを巨大なイベントに仕立て上げるなど、他店ではあまり見ない取り組みも積極的に行い、傘下のスタジオアルタの刷新の刷新などもこれから始まる所だったのですが、任期途中で社長の座を譲ることになったようです。
社長の退任は4月1日付だそうですが、6月の株主総会では取締役も辞めることになっていて、同じく総会では石塚邦雄会長の退任も決まると見られています。後任には現在執行役員を務めている杉江俊彦さんが就任するそうで、通信技術すらまともに整っていない時代に、リアルタイムでの在庫管理などを店舗に導入した業務改革の担い手をトップに据えた経営が始まることになります。
・また、お家騒動か 三越伊勢丹HDの社長辞任報道 :日本経済新聞
・「百貨店離れ」誤算の連鎖 三越伊勢丹HD社長交代 :日本経済新聞
・代表取締役の異動に関するお知らせ – PDF
・ニュース – 三越伊勢丹HD、新社長は「IT巧者」:ITpro